CNAPPとは / 主要なCNAPP製品

主要なCNAPP製品

最終更新:2026年8月

CNAPPを掲げる製品は、どこから出発したかによって得意領域が異なります。設定監査から広げてきた製品と、エンドポイント保護から広げてきた製品では、同じ「CNAPP対応」でも厚みのある場所が違います。

ここでは9製品を出自で5つに分け、それぞれの強みと、検討する際に確認したい点を整理しました。

総合スコア順(7軸の単純平均・同点は同順位)

  1. 14.1
  2. 23.9
  3. 33.7
  4. 43.6
  5. 43.6
  6. 43.6
  7. 43.6
  8. 83.4
  9. 9Cloudbase3.1

タップすると各製品の解説へ移動します。スコアの算出方法はページ末尾を参照してください。

エージェントレス起点

AGENTLESS — 2製品

クラウドのAPI経由でストレージのスナップショットを読み取り、ワークロードに何も入れずに脆弱性と設定を洗い出す方式から出発した系統です。導入が速く、既存環境への影響がほぼないことが最大の強みで、CNAPPという言葉が広まった原動力でもあります。反面、実行中のプロセスをその瞬間に捉える用途は、追加のエージェントに頼ることになります。

Wiz

Wiz(Google Cloud)

総合4.1 / 5

エージェントレスでクラウド全体をスキャンし、「公開されている」「脆弱性がある」「強い権限が付いている」といった条件が同じ資産で重なる箇所を、グラフ構造の攻撃経路としてつなげて見せる方式を広めた製品です。CNAPPというカテゴリーの事実上の基準点として扱われることが多く、比較検討では最初に名前が挙がります。

強みは、導入の速さと優先順位づけの質に集約されます。クラウド側に読み取り権限のロールを渡すだけで数日以内に全体像が出るため、PoCの初速で他製品を圧倒しやすく、「アラートの件数ではなく、実際に危ない組み合わせだけが上位に並ぶ」体験が評価の中心にあります。CSPM・CIEM・脆弱性・DSPMまでを一つのグラフで扱う設計で、ドキュメントや事例の蓄積も豊富です。

弱みは裏返しで、実行中のプロセスをその瞬間に捉えるランタイム防御は、追加のセンサー導入が前提になります。価格は高めと評されることが多く、小規模環境では過剰投資になりがちです。また2026年3月にGoogleによる買収が完了したため、AWS・Azure環境での中立性がどこまで維持されるかは、今後の契約更新における確認事項になります。日本語の一次情報はまだ英語に比べて薄く、深い調査は英語ドキュメント前提です。

出自
エージェントレススキャン
強み
リスクの相関と優先順位づけ、導入の速さ
注意点
2026年3月にGoogleによる買収が完了。マルチクラウド対応の中立性がどこまで維持されるかは契約更新時の判断材料になる

Orca Security

Orca Security

総合3.7 / 5

エージェントレス方式の先駆けで、ストレージのスナップショットを外部から解析する手法(SideScanningと呼称)を最初期から掲げてきた製品です。ワークロードに何も入れずに脆弱性・設定・マルウェアの痕跡まで洗い出せる点が軸で、比較検討ではWizと並べて評価される場面が多くなります。

強みは、導入時の環境影響が実質ゼロであることと、脆弱性から設定不備、機微データの所在までを単一のデータモデルで扱う一貫性です。エージェントの配布・更新という運用作業そのものが発生しないため、インフラ側の協力を取りつけにくい組織でも始めやすい構造をしています。買収後のWizに対して、独立系ベンダーであること自体が中立性の面での選択理由になり得ます。

弱みはエージェントレス方式に共通するもので、スナップショット解析は定期実行のため、実行中の不審な挙動をリアルタイムに捉える用途には別の仕組みが必要です。日本国内での知名度・情報量はWizより一段落ちるため、社内稟議で名前が通りにくい場面があり、機能差よりも価格条件と国内サポート体制の比較で決着することが少なくありません。

出自
エージェントレススキャン
強み
導入時の環境への影響が小さい
注意点
エージェントレス方式に共通して、実行中の挙動をリアルタイムに捉える用途は別途の検討が要る

ランタイム・EDR起点

RUNTIME — 3製品

エンドポイント保護やコンテナ監視から出発し、その延長でクラウドを対象に広げてきた系統です。実行中のワークロードで何が起きているかを捉える力が強く、侵入後の検知と対応に軸足があります。すでに同じベンダーのEDRを使っている場合、エージェントと運用が共通化できることが実務上の利点になります。

CrowdStrike Falcon Cloud Security

CrowdStrike

総合3.6 / 5

EDRのFalconプラットフォームを基盤に、クラウドワークロードへ保護範囲を広げた製品です。エージェントによるランタイム防御を核に、エージェントレススキャンを組み合わせるハイブリッド構成を採ります。

最大の強みは、侵入後の検知・対応の質と、既存Falcon環境との一体運用です。エンドポイントとクラウドを同じエージェント・同じコンソールで扱えるため、すでにFalconでEDRを回している組織なら、運用チームの学習コストがほぼ増えません。同社の脅威インテリジェンスと監視サービスをクラウド側にもそのまま効かせられる点は、SOC体制が薄い企業には実利があります。

弱みは、設定監査やIaCスキャンといった「左寄り」の機能が後発である点です。開発パイプラインの手前で止める用途を重視するなら、専業製品と機能の深さを見比べる必要があります。またエージェント前提の防御はその配布・維持という運用を伴い、Falcon未導入の組織にとっては「一体運用」という最大の利点が薄まるため、単体比較では相対的に割高に映りがちです。ライセンスがモジュール単位のため、同条件での見積もり比較に手間がかかる点も実務上の注意点です。

出自
EDR / エンドポイント保護
強み
ランタイムの検知・対応、既存Falcon環境との統合
注意点
設定監査やIaCといった左寄りの機能をどこまで求めるかで評価が変わる

Cybereason CNAPP

サイバーリーズン

総合3.6 / 5

EDR・XDRを手がけてきたサイバーリーズンが2025年5月19日に国内販売を開始した製品です。エージェント型アーキテクチャを採り、AWS・Azure・Google Cloudに対応します。脆弱性、設定ミス、過剰な権限、インシデント対応時の可視性という4点を対象に掲げています。

強みは、国内での事業基盤です。同社は日本市場に深く根を張ってきた経緯があり、日本語のサポート・営業・ドキュメント体制を前提に検討できます。エンドポイントのEDRからクラウドまでを同一ベンダーで揃えたい、かつ国内の商流とサポート窓口を重視したい、という要件に対しては数少ない選択肢になります。エージェント型のため、実行中ワークロードの可視性を重視する設計です。

弱みは、提供開始から日が浅く、導入実績や第三者による評価の蓄積がこれからである点です。エージェント型は配布・更新の運用計画が必要で、エージェントレス方式のような「まず全体像を数日で」という入り方はできません。グローバルのCNAPP市場での立ち位置もまだ固まっていないため、長期利用を前提にするなら、機能ロードマップの確認を検討プロセスに含めるべきです。

出自
EDR / XDR
強み
エンドポイントからクラウドまでを同じベンダーで揃えられる
注意点
国内での提供開始が2025年のため、他製品に比べ導入実績の蓄積はこれから

Sysdig Secure

Sysdig

総合3.6 / 5

コンテナランタイム監視の標準的なオープンソースであるFalco(同社が開発しCNCFへ寄贈)を起点に、コンテナとKubernetesのランタイム可視性を軸として発展してきた製品です。

強みは、実行中のコンテナで「いま何が起きているか」を捉える深さです。システムコールレベルの可視性を土台にした検知は、コンテナ環境に限れば汎用CNAPPより一段細かく、Kubernetesの設定監査(KSPM)からインシデント時のフォレンジックまでをコンテナ文脈で一貫して扱えます。中核がオープンソースであるため、検知ロジックの透明性が高く、ベンダーロックインへの警戒感が強い組織とも相性が良い構造です。

弱みは、強みの領域がはっきりしている分、コンテナ運用が中心でない環境では持て余す点です。仮想マシン主体のクラウドやSaaS中心の構成では、この製品の深さが活きる場面が限られます。また、システムコールレベルの情報を扱う性質上、検知ルールの調整やインシデント調査には相応の技術力が要求され、運用チームがコンテナ技術に不慣れな場合は導入後の負荷が想定より重くなりがちです。

出自
コンテナ / Kubernetesのランタイム監視
強み
コンテナ環境の深さ
注意点
コンテナ運用が中心でない環境では、強みが活きにくい

大手プラットフォーム統合型

PLATFORM — 2製品

すでに広く導入されている大きなセキュリティ基盤の一部として、クラウド保護を提供する系統です。単体の機能比較より、既存契約や運用体制との連続性が選定理由になりやすいのが特徴です。逆に、その基盤を使っていない組織にとっては利点が薄まります。

Prisma Cloud / Cortex Cloud

Palo Alto Networks

総合3.9 / 5

Palo Alto NetworksのCNAPPは、2025年2月にPrisma CloudからCortex Cloudへと位置づけが変わりました。単なる名称変更ではなく、Prisma CloudとCortex CDR(クラウドの検知・対応)を統合し、同社のCortexプラットフォーム上で提供する再構成です。クラウドセキュリティをSOCの運用と地続きに扱う方向に舵を切っています。

強みは機能範囲の広さです。コード(IaC・シークレット検査)からビルド、ランタイム、そしてSOCでの検知・対応まで、一つのベンダーでこれほど広く覆える製品は多くありません。すでに同社のファイアウォールやSASEを導入している組織なら、契約・サポート窓口・脅威インテリジェンスを束ねられる利点もあります。シフトレフト側の機能の厚みは、開発チームを巻き込んだDevSecOpsを本気で回したい組織に向きます。

弱みは、その規模ゆえの重さです。機能が多いぶん初期設計とチューニングの工数が大きく、小規模チームが使いこなすには過剰になりがちです。モジュール構成と課金体系が複雑で、他社との同条件比較には根気が要ります。また移行期にあたる現在は、Prisma Cloud時代の情報と現行仕様がWeb上に混在しており、調査の際は情報の日付とどちらの製品体系を指しているかの確認が欠かせません。

出自
統合セキュリティプラットフォーム
強み
SOC運用との統合、機能範囲の広さ
注意点
移行を伴う再構成のため、Prisma Cloud時代の情報と現行仕様が混在している。公式の最新資料で確認したい

Microsoft Defender for Cloud

Microsoft

総合3.6 / 5

Azureにネイティブに組み込まれたクラウド保護機能です。ポータル上で有効化するだけで使い始められ、AWSやGoogle Cloudをコネクタ経由で追加する形のマルチクラウド対応も備えます。

最大の強みはMicrosoft環境との一体感です。Azureのリソースは追加の統合作業なしで保護対象になり、Defender XDRやSentinelといった同社のセキュリティ製品群、Entra ID(旧Azure AD)の権限情報と自然につながります。調達面でも、既存のMicrosoftライセンス体系・支払いの延長で扱えるため、新規ベンダーの追加という稟議上のハードルが立ちません。Azure中心の組織にとって「まず有効化して基準線を作る」導入のしやすさは随一です。

弱みは、AWS・Google Cloudへの対応がAzureほどの深さではない点です。マルチクラウドの比重が大きい環境では、専業CNAPPとの比較が必須になります。またMicrosoftのセキュリティ製品群は名称・プラン・課金の構造が複雑で、どの機能がどのプランに含まれるかの把握自体に労力がかかります。機能はAzureの進化と一体で変わり続けるため、評価時点の情報がすぐ古くなることも織り込んでおくべきです。

出自
Azureのネイティブ機能
強み
Azure環境との統合、既存ライセンスとの連続性
注意点
マルチクラウドの比重が大きい環境では、他製品との比較が必要

脆弱性管理起点

VM — 1製品

オンプレミス時代からの脆弱性管理を土台に、クラウドへ対象を広げてきた系統です。すでに全社の脆弱性管理をその製品で回している場合、クラウド分だけ別の仕組みに分けずに済むことが利点になります。

Tenable Cloud Security

Tenable

総合3.4 / 5

脆弱性管理の老舗であるTenableのクラウド向け製品です。CIEM専業だったErmeticの買収(2023年)を土台にしており、クラウドの権限管理に強みを持つと評価されることが多い製品です。

強みは、権限まわりの分析の深さと、既存の脆弱性管理基盤との連続性です。誰が・どのロール経由で・何に届くのかという権限の連鎖を追う機能は、IAMロールが増え続けて誰も全体像を説明できなくなった環境で特に効きます。すでに全社の脆弱性管理をTenableで回している組織なら、オンプレとクラウドの脆弱性を同じ体系で扱えるため、管理の分断を避けられます。

弱みは、実行中ワークロードの保護です。ランタイムの検知・対応はこの製品の主戦場ではなく、そこを重視するならEDR系やコンテナ特化型との併用か比較が必要になります。コンテナ・Kubernetes文脈の深さも専業製品には及びません。「CNAPPのフルスイート」を期待して導入すると欠けている領域に後から気づくことになるため、権限管理と脆弱性管理を軸にした製品だと理解した上で評価するのが適切です。

出自
脆弱性管理
強み
権限管理、既存の脆弱性管理基盤との接続
注意点
コンテナのランタイム保護をどこまで求めるかで評価が変わる

国産

DOMESTIC — 1製品

日本国内で開発され、日本語のUI・ドキュメント・サポートを前提に設計された系統です。海外製が中心のこの領域で、運用担当者の言語的な負担を下げられることが選定理由になります。

Cloudbase

Cloudbase株式会社

総合3.1 / 5

2019年創業のCloudbase株式会社が開発する国産CNAPPです。CSPM(設定ミスの継続的な検出)を中心に、SBOMを用いた脆弱性管理を組み合わせ、AWS・Azure・Google Cloudに加えてオンプレミス環境を含む資産も対象にできます。エージェントレスで導入できます。

強みは、日本の組織で運用することを前提にした作りです。UI・レポート・検出したリスクの修正手順まで一貫して日本語で提供され、サポートも国内体制です。海外製CNAPPでは「検出はできたが、直し方を調べるのは英語ドキュメント」という段差が現場の負荷になりがちで、そこを埋められることが最大の価値です。オンプレを含むハイブリッド構成を一つの画面で扱える点も、国内の中堅企業の実態に合っています。

弱みは、機能の広がりです。ランタイム保護、CIEM、コンテナ・Kubernetesの深い監査といった領域は、海外大手が長年積み上げてきた部分であり、現時点では守備範囲の差があります。グローバルに展開する大規模環境や、コンテナ中心の開発組織では物足りなさが出る可能性があるため、自社の要件が「設定監査と脆弱性管理を日本語で確実に回すこと」に収まるかどうかが、この製品を選ぶ判断の分かれ目になります。

出自
国産・CSPM中心
強み
日本語のUIと修正ガイド、国内サポート、オンプレを含む資産の可視化
注意点
コンテナのランタイム保護など、右寄りの機能の比重は製品ごとに異なるため要確認
METHODOLOGY

評価の方法について

各製品の7軸スコアは、公開情報(公式ドキュメント、リリース、第三者の解説記事)にもとづく本サイト独自の相対評価です(5段階、2026年8月時点)。総合は7軸の単純平均です。ベンダーからの提供・監修・報酬は受けていません。

スコアは「その領域にどれだけ厚みを置いた設計か」の目安であり、優劣の断定ではありません。低いスコアの軸は、その製品の主戦場でないというだけのことが多く、要件によっては全く問題になりません。数値の根拠は各カードの本文と注意点に書いています。